大阪の未来予想図Vo.2~夢洲・舞洲周辺の変化~
2025年に開催が決定している『大阪・関西万博』。そして先日政府に認定を受け、現実味が増してきた、大阪にカジノなどを備えた統合型のリゾート施設の開業を目指す『大阪IR整備計画』。その会場となる大阪市此花区の人工島、夢洲とその周辺では、現在着々と交通インフラ等の大規模な開発工事が進められています。
元々は1970年代に、ごみ処分場として使用するために埋め立てが始まり、その後国際情報都市計画、オリンピックの大阪誘致の際の選手村計画等が立てられるもいずれも頓挫。長らく『負の遺産』と呼ばれてきた夢洲が、今回の大規模開発でどのような変貌を遂げるのでしょうか。さらに、それに伴う今後の大阪の不動産価値について考えていきます。
強化される交通インフラ
現在の夢洲、舞洲へのアクセス手段は公共交通機関の場合、大阪メトロ中央線「コスモスクエア駅」、もしくはJRゆめ咲線「桜島駅」からバスに乗車する必要があり、大阪駅からの所要時間は1時間ほどかかります。
この不便さを解消すべく、大阪メトロ中央線を延伸し、新駅「夢洲駅(仮称)」の開業が計画、着手されています。既に海底トンネルは完成しており、これが開通すれば、大阪駅から
乗り換えは1度のみで、所要時間も約30分で済む見込みです。
また、まだ計画段階ですが、JRゆめ咲線を延伸し、大阪駅から乗り換えなしで舞洲、夢洲へ約22分で繋ぐ計画も『大阪IR整備計画』が認定を受けたことで進むことが予想されます。
道路面でも整備は進められ、26年度末に完成予定の阪神高速・淀川左岸線2期の工事を前倒しし、大阪市中心部と万博会場を結ぶシャトルバスのルートとして暫定利用されます。
加えて、会場周辺の車の往来で渋滞が懸念される、夢洲と隣接する舞洲を結ぶ「夢舞大橋」を4車線から6車線に拡幅する計画も盛り込まれています。
万博開催で期待される経済効果
『大阪・関西万博』では、インバウンド誘客への期待がかかっています。2021年に開催された『ドバイ万博』では、コロナ禍であったにもかかわらず約2,400万人という驚愕の動員数を記録し、世界178か国からのインバウンド観光客が3人に1人を占めました。
大阪府市と関西経済3団体のトップによる会合では、万博が開かれる2025年のインバウンド数について1,500万人を目指すことが示されました。
想定来場者数は約2,820万人、経済波及効果は約2兆円を見込んでいます。
万博に合わせて、関西各地で大規模なイベントや国際会議、中小企業が工場内部を公開する「オープンファクトリー」などを行うことで、大阪だけでなく関西全体で万博関連の需要を取り込んでいく必要性も検討されています。
関西の玄関口となる関西国際空港では国際線エリアを拡大する大規模改修に乗り出し、訪日客の受け皿として体制を整えています。
このことからも、夢洲での万博開催が大きな経済効果を生み出す起爆剤として期待されていることが窺えます。
実現に向け動き出した『大阪IR整備計画』
4月14日、政府はカジノを含む統合型リゾート(IR)について、夢洲への誘致を目指す大阪府の整備計画を認定したと正式発表しました。これを受け、2029年秋~冬頃の開業を目指し施設などの整備を進められる見通しとなりました。
大阪府市によると、IRは初期投資で1兆円超に上り、約1万5,000人の雇用を生み出すとしています。
具体的にIRを形成する施設としては、カジノ、国際会議場、ホテル、シアター、大規模なバス・フェリーターミナルなどです。世界最高水準の成長型IRの実現を図ることで観光分野の基幹産業化を図るとともに、大阪・関西の持続的な経済成長を目指します。
関西の経済界からは、観光客の増加や地元での雇用の創出などへの期待が出ています。実際に開発工事が動き出し、開業までこぎつければ夢洲が新たなベイエリアの賑わいの拠点となることは間違いないでしょう。
底上げされる夢洲周辺需要と不動産価値
ここまでご紹介した『大阪・関西万博』、『大阪IR』、それに伴う交通インフラ整備による経済活性化により、これまでほとんど人が集まることのなかった夢洲周辺地域への人の往来が激しくなり、また雇用が増えることが予想されます。そうなれば、夢洲を中心とした大阪メトロ中央線沿いの需要も必然的に上がってくるでしょう。
不動産の価値はまずエリアの需要が満たされない限り、上昇してくることはない為、すぐに上昇とはいかないと思われますが、今まで注目度が低かった大阪市西部の新たなエンジンとして活性化に期待がかかります。
大阪での不動産投資は・・・
不動産の価値は各土地の需要によって変化していきます。今後の大阪には新たな盛り上がりの中心となるスポットの誕生が目白押しであり、国内外からの観光需要、そして労働需要が高まることは必然です。
一定の割合で日本の不動産価格には外資が影響を与えるので、外国から目を向けてもらえるイベント・事業があることはポジティブなことではないでしょうか。
とはいえ、短期売買で利益を上げるのはとても難しいことですので、基本の中長期保有を前提とした不動産投資をおすすめします。