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コラム

変わる税務調査 ~データで管理される時代へ~

近年、「税務調査が変わった」とよく言われます。
その背景にあるのは、デジタル化の進展とデータ活用の高度化です。また、国税庁では現在、「KSK(国税総合管理システム)」から次世代システムである「KSK2」への移行準備も進められています。

ポイントはシンプルで、「調査のやり方がデータ重視に変わってきている」ということです。では、実際の数値をもとに、その変化と私たちへの影響を整理してみます。

税務調査の変化

税務調査の変化を数値で比較してみます。

さらに法人税の調査では次のような傾向が見られます。

これらの数字から、「調査の数は減っているが、1件あたりは重くなっている」という傾向が読み取れます。

変化の背景

この変化は、KSK2だけによるものではありませんが、主な要因としては次のような点が挙げられます。

    ・e-Taxの普及によるデータ蓄積
    ・申告情報のデジタル化の進展
    ・既存システム上でのデータ分析の高度化
    ・調査リソースの効率化

これにより、従来のような「広く薄く」の調査から、「リスクの高い対象に絞る」方向へシフトしています。AIが加わることで、人では見抜きにくい「不自然な点」が抽出されます。

例えば、「売上は増えているのに利益が不自然に低い」「特定の取引先だけ異常に金額が大きい」こうした“違和感”がある先に絞って調査が入るため、結果として高額な修正につながります。

つまり、以前は人の経験や勘に頼る部分もあった調査が、現在ではデータ分析をベースにしたものへと進化しているのです。

なお、KSK2は2026年以降の本格稼働が予定されており、今後は税目をまたいだデータの統合や分析機能の強化が進むと見込まれています。

調査スタイルの変化

このことから、税務調査のスタイルは大きく変わりました。

現在は、データ分析などをもとに「調査の必要性が高い」と判断された対象に絞って調査が行われる傾向があります。

そのため、
    ・論点が深掘りされる
    ・見落としが減る
    ・修正額が大きくなる

といった特徴が見られます。

企業、個人への影響

企業にとっては、特に法人税調査の「精度向上」が大きな影響です。

    ・売上規模が大きい
    ・海外取引やグループ会社間取引がある
    ・利益の変動が大きい

こうした企業は、より重点的にチェックされる傾向があります。また、データ同士の整合性が重視されるため、「説明できるかどうか」が非常に重要になります。帳簿や証憑の管理がこれまで以上に求められる時代です。

個人についても無関係ではありません。

副業やフリーランスの増加により、収入源が複雑化していますが、KSK2ではこれらの情報も把握しやすくなるため、「少額だから大丈夫」という考えは通用しにくくなっています。

特に、無申告や過少申告は後からまとめて把握される可能性があり、結果的に大きな負担につながるケースもあります。

これからの対策について

確定申告は自己申告であり、税制度に従い自身の考えの中、作成をすることができます。しかし常識を逸脱した申告をしてしまうと、適正な申告として認められず、後から修正や説明を求められる可能性があります。

現代の税務調査は、意図的な不正や大きなズレを重点的に確認する傾向があるため、最新の税制度を理解しつつ、経費に関する履歴の保存を丁寧に行い、説明できる状態を保つことが重要です。

今後、KSK2の本格稼働により、データ活用はさらに進むと考えられており、税務調査はすでに「件数重視」から「精度重視」へと変わり始めています。それにより、調査率は下がったものの、調査の中身はより厳しくなっていると言えるでしょう。

「調査の対象になりにくくなったが、なると重い」という傾向は今後も続き、これからは、「調査対象になるかどうか」ではなく、「調査が入っても問題ない状態かどうか」が重要になってくるのではないでしょうか。

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