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コラム

スルガ銀行~不正融資問題のその後~

2018年に世間を騒がせた「スルガショック」はご存知な方は多いかと思います。

不動産投資業界を激震させたこの事件を振り返りながら、ニュースではあまり取り上げられることのないその後どうなったのかを見ていきましょう。

 

「かぼちゃの馬車」問題

スルガ銀行の不正融資が発覚したことの発端となったのは、関東圏を中心に女性専用のシェアハウス投資である「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズの経営が立ち行かなくなったことから始まりました。

 

不動産投資というとアパートやマンションが主流でしたが、スマートデイズは個人投資家向けに当時流行り始めていたキッチンやバスルームなどを共有にし、部屋数を増やして低家賃で運営するシェアハウスに目を付け、スルガ銀行と手を組みどんどん融資を行っていました。

 

シェアハウスという新しい投資物件だったことから、空室リスクを心配する声が投資家から上がりましたが、スマートデイズは空室の期間も家賃を保証すると約束し、年8%以上の利回りを保証することを売りに販売を行っていきました。

 

しかし、新しい試みだったシェアハウスは思ったように入居率が伸びず、空室が目立っていきました。

空室の部屋の賃料についてはスマートデイズが保証する予定でしたが、あまりにも空室が増えてしまったので保証できなくなり、ついに2018年1月に投資家に対して家賃を保証できないと通告し大問題となったのです。

 

スマートデイズが家賃保証を打ち切ると、自力でローンを返済できなくなる投資家が続出しました。本来、銀行の審査は不動産会社が家賃保証をしなくても返済していけるかどうかという観点から審査すべきであったのですが、スルガ銀行は書類の改ざんの黙認や、融資審査の基準を下げることを行いました。本来融資を利用できない方が多かったことから、返済に行き詰まり問題は表面化していきました。

 

このような状況から、芋づる式に融資元であるスルガ銀行の審査実態が問題となり、不適切な融資があったことが発覚したのです。

 

「かぼちゃの馬車」問題 ←以前こちらのコラムでも詳しくご紹介しております)

 

 

スルガ銀行のその後

事件後にスルガ銀行で行われた調査で、投資用不動産向け融資約3万8000件のうち、約7000件で不正が確認されました。

なぜこのような不正が行われるようになってしまったのかというと、銀行内の悪しき仕組みであったとされます。

不動産投資ローンの競争が激しさを増すなかで、営業を行っている社員は上からの指示で非常に高いノルマを設定されていたため、そのノルマを達成するために、営業から審査部門へ圧力がかかったのです。営業至上主義的な社内風潮ができていたため、営業がもってきた案件を審査で落とすこと自体非常に難しい状況に陥っていたといいます。

さらに営業部では、上司から部下に対する心ない恫喝や叱咤が日常化していたと、後のメディアの取材で明らかになっています。

 

このような不正により、スルガ銀行に対して6カ月間の不動産投資向けの新規融資の業務停止と業務改善命令が出ました。

 

そして2020年3月にかぼちゃの馬車の被害弁護団とスルガ銀行とで、不動産購入向けの融資と不動産を「相殺」することで同意に至りました。つまり、土地と建物の物納を条件に、借金を帳消しにするということです。これにより、オーナーは借金の返済を免れることができます。この対象は、東京地裁に民事調停を申し立てていたオーナー257名で、物件数は343棟、ローン残高は約440億円となります。

 

しかし、この解決には多くの投資会社や投資家から疑問の声が出ています。

一つは、問題の主軸がいつの間にかスマートデイズという不動産会社からスルガ銀行による「不正融資事件」にすり替わってしまった点です。

今回のスルガ銀行との解決策で対象となるのはオーナー257名です。しかしシェアハウスのオーナーは全体で1258名います。被害者弁護団は残りのオーナーに対する救済への取り組みを続けるとしており、スルガ銀行も協力する姿勢を示してはいます。

しかし、スルガ銀行から融資を受けたオーナーだけが救済されることの不自然さには疑問が残ります。

 

スルガ銀行はこの問題後、経営難に陥り他企業に救済を求めました。そして、最終的に救済したのは金融企業ではなく家電量販店大手のノジマでした。先日両社は資本業務提携したと発表しました。ノジマは2019年10月にスルガ銀行の株式を買い取り、18.5%を保有する筆頭株主となっていました。今後は業務面でも緊密に連携し、相乗効果の創出を目指すとのことです。

しかしながら、スルガ銀行から新規に融資を受けたい顧客は少ない一方で、スルガ銀行から以前融資を受けて月々の返済を続ける顧客は多いので、自然と貸出金残高は減少し、そこから生まれる資金利益も減少していきます。さらに運悪く新型コロナウイルスの影響も少なからず受け、経営危機という状況から抜け出せていない状況です。

 

まとめ

スルガ銀行の一連の不正融資問題により、金融庁は各金融機関の不動産投資ローンの審査実態について厳しくチェックしています。これにより、以前よりも融資審査の基準が厳しくなっている傾向があり、問題発覚前であれば審査に通っていた案件が通らなくなったり、融資を受けられる限度額が下がったりしているようです。

このように、不動産投資業界に大きな影響をもたらしたスルガショック。不正融資の対象となったかぼちゃの馬車オーナーの多くが、投資のノウハウを知らない初心者の方だったといいます。スマートデイズのうまい話を信じ込んで投資を行ってしまったのです。

美味しい話には裏があると思って、自身でも下調べをするなどしてこのようなことに巻き込まれないように気を付けましょう。

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