コロナ禍でおきた賃貸ニーズの変化
2020年4月に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が初めて発令されてから、はや3年が経とうとしています。近頃は新型コロナを季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針が固められたり、マスク着用ルールの大幅な緩和が実施されたりと、少しずつ平時へと戻りつつあるような現状です。
しかし、コロナ禍で変化した生活様式は、既に世間に定着しているものも数多くあります。今回は、それに伴い起きた、賃貸住宅に対する入居者ニーズの変化をご紹介していきます。
在宅時間の増加で、快適性を高める住まい探しが促進
在宅勤務やテレワーク、リモート授業が急速に普及したことにより、在宅時間が長くなり住まいに高い快適性を求めるニーズが強まりました。様々な規制が緩和されつつある現在でも、オフィスを縮小して在宅を恒常化している会社も多く存在しています。テレワークは新しい働き方として定着し、テレワーカーは今後も増加していく見込みです。
変化した生活に合わせて、よりよい環境作りのため、住まい探し意欲は促進されています。
そのような環境下で賃貸入居者は今、具体的にはどのようなモノを求めているのでしょうか。
入居者が今、住まいに求めるモノ
・遮音性
オンライン会議・学習など室内で声を発する活動が増えたことに加え、長時間の在宅中に住居内外の音に敏感になる人が増えています。集中して仕事をするためにも、高い遮音性は重視されます。
・高速インターネット
テレワークにおいてインターネット設備は必須ですが、それ以外にも動画・音楽配信サービス、ゲームなどネット活用が増加しています。それに伴い、通信スピードが重視される傾向となっています。
・洋室部分の広さ
在宅勤務前提で部屋を探す場合、作業用のデスクや椅子を設置したいと考える方が多いです。部屋が狭くてデスクが置けず、ローテーブルで作業をし、身体的にもストレスを感じている方が多いようです。快適に仕事をするためには、ある程度の部屋の広さが必要になります。
・換気システム
在宅勤務中は長時間同じ部屋にいることになりますが、密閉された空間だと二酸化炭素濃度が上がり、眠気を引き起こす一因になります。また、室内空気汚染により頭痛や倦怠感を引き起こすこともあるそうです。2003年7月以降建築の物件には24時間換気システムなどの設置が義務付けられていますが、これを設置していない物件もあることから、最近ではついているかどうかの問い合わせも増えています。
・宅配ボックス
在宅中のデリバリーやネットショッピングの利用が増えたことにより、配達物がより多くなりました。また非接触での受け渡しを望む声が多くなっていることから、宅配ボックスは不在時の受取だけでなく、在宅中の非接触受取手段としても広く人気です。また、テレワーク中に受取で集中を削がれることもありません。
・ペット飼育可物件
在宅時間が増えたことや、人との接触を減らさなければならないということから、犬や猫などのペットを飼い始める方が急増しました。今後もペットと暮らしていく上で、ペット飼育可能物件であることは必須条件です。
今後の賃貸経営は・・・
住まいに求められるものというのは日々変化し、社会的な環境変化やトレンドといったことに大きな影響を受けます。コロナ禍では、特に在宅時間の増加による快適性、テレワークに適した住環境へのニーズが顕著に表れました。
今後もさらにリモートワークを行う企業が拡大すれば、これまで都心に近く、駅までの距離等の利便性を重視されていたところが、全国どこでも仕事を行え、通勤の負担も減ることから、地方や郊外の賃料を抑えながら快適性をかなえる物件の需要増加も予想されます。
近年、住まいについて見つめなおす時間ができた方が増え、より充実した設備などを求められるようになっています。賃貸経営をするうえで、withコロナ、afterコロナを見据え、変化に対応していける柔軟な対応力が重要になっていくでしょう。