超高齢社会で変わる住宅事情
65歳以上の高齢者の割合が増えている昨今、住まいに求められることが変わってきました。今までの賃貸住宅は若年層をターゲットにしていましたが、住宅を持っていない高齢者にニーズが変わりつつあります。今回は、超高齢社会による問題と変化する住まいの状況についてお伝えします。
超高齢社会による問題
高齢者の数が増えるとともに、「独居老人」とも呼ばれる「高齢単身世帯(65歳以上のひとり暮らし世帯)」の増加が目立っています。主に都市部などで、身内の方や地域の人々とのつながりが薄くなっていることが指摘され、ひとり暮らしの高齢者の「孤独死(孤立死)」も社会問題化している状況です。そのため高齢による健康・経済面の不安から、賃貸住宅のオーナーが高齢者世帯の入居に消極的なケースもみられます。
また、今後さらに増えるとされる高齢の単身世帯や夫婦世帯に適した住まいの整備は、まだ追いついていません。バリアフリー化など住宅の構造問題はもとより、賃貸住まいの高齢者の住み替え需要に対応する物件の供給寡少なども指摘されつつあります。
高齢者の住宅所有率
現在の住まいの住居形態をみると、全体で「持家(一戸建て)」(76.2%)が最も高いです。
次いで、「持家(分譲マンション等の集合住宅)」(8.3%)、「賃貸住宅(民営のアパート、マンション)」(5.9%)、「賃貸住宅(公営・公社・UR等の集合住宅)」(4.5%)、「賃貸住宅(一戸建て)」(2.4%)が続きます。
(令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果より)
高齢者が求める住宅とは
持ち家の場合、築年数ごとにリフォームをすることで、住まいを長持ちさせることができたり快適性がアップします。老後に住み慣れた場所で安全に暮らすならば、自宅を高齢者の生活に合った仕様にリフォームを施しておくと安心です。
また、高齢者向けの賃貸住宅のニーズは年々高まっています。特に、健康寿命が延びる中で、元気な高齢者が快適に暮らせる住まいが求められています。以下のような特徴が重要視されています。
・バリアフリー設計:段差のない床や手すりの設置など、安全に生活できる環境
・医療・介護サービスの連携:緊急時の対応や定期的な健康チェックが受けられるよう、医療機関や介護サービスとの連携
・見守りサービス:家族に代わって高齢者の安否や健康状態を確認し、緊急時にも対応してくれるサービス
・コミュニティスペース:入居者同士の交流を促進するための共用スペースやイベントがあると、孤立感を減らすことができます。
・適切な間取り:夫婦二人でも快適に暮らせる広さの部屋が人気です。1LDKや2LDKの間取りが好まれます。
持ち家をリフォームしていくにはまとまったお金がかかるため、計画性が必要です。一方、賃貸住宅の場合はリフォームが出来ないため、状況によってはバリアフリー住宅に住み替えるなどの必要があります。
オーナーとしても、高齢者の多い地方では単身者マンションに対する耐要が若者だけではなくなることをみすえ、仕様とケアが必要かもしれません。
まとめ
住まいの環境が良いほど、自宅で幸せな老後生活を送ることが可能です。高齢になっても安全に暮らせる家は、大きな安心を与えてくれます。
自分の未来をイメージしながら、いま一度住まいづくりとライフプランを考えてみるといいかもしれません。