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コラム

キャッシュレス化は不動産業界でも広がるのか?

近年、私たちの生活に浸透してきている「キャッシュレス決済」。国も推進しており、政府は大規模な支援策を講じています。それにより、日本のキャッシュレス決済比率は過去1~2年でどんどん増加してきています。

今後ますます進むとされるキャッシュレス化ですが、不動産業界にはどのように影響があるのでしょうか。

 

 

そもそもキャッシュレスとは?

キャッシュレスとは、端的に言えば現金以外の方法で支払いをすることです。

クレジットカード、交通系ICカード、流通系ICカード、タッチ型決済、QRコード決済などがあります。

 

 

日本のキャッシュレスの現状

経済産業省の発表によると、日本のキャッシュレス決済比率は2016年時点では約20%程度にとどまっていました。調査国の中で一番普及していた韓国が約96%、次にイギリス約69%、中国約66%、オーストラリア約58%と続いており、世界の主要都市と比較すると日本は圧倒的に低かったのが分かります。

そして2019年の消費税増税に伴う消費の落ち込みを防ぐとともに、キャッシュレス化を促進することを目的とした、「キャッシュレス消費者還元事業」がスタートしました。

これをきっかけに、日本の本格的なキャッシュレス化政策がはじまり、2020年にはキャッシュレス決済比率は29%にまで達したとされます。

政府は今後2025年の大阪万博に向けて、キャッシュレス決済比率を40%程度、将来的には世界高水準の80%を目指すとしています。

 

 

なぜキャッシュレス決済が推奨されるのか?

このように、政府は日本のキャッシュレス決済比率を拡大していく目標を掲げていますが、理由として以下のことが考えられます。

 

インバウンド消費の拡大

日本は先進国の中ではまだキャッシュレス化が進んでいるとは言えませんが、諸外国ではキャッシュレス決済が当たり前となっているところが多く、現金をあまり持たずに来日する人も珍しくありません。そうなると、インバウンド客が買い物をしたり飲食をしたりするのは、キャッシュレス決済が導入されている店舗が好まれるでしょう。今後、インバウンド需要はますます高まっていくとされるので、こうした機会を逃さないためにもキャッシュレス決済の導入が大切となります。

 

レジ作業の短縮による業務効率の向上

キャッシュレス決済をすると、「現金を受け取る→お釣りを計算する→お釣りを準備する→手渡す」というような一連の作業を行わなくてよくなるので、レジ作業の大幅な効率化を実現することが可能です。

日本は少子高齢化が進んでおり、今後さらに高齢者が多くなると予測されているので、限りある人手で生産性を上げる為にも、業務の効率化が重要となってきます。

 

 

不動産業界のキャッシュレス

今では、コンビニや飲食店、また多くの販売店などでキャッシュレス決済が導入されています。不動産業界においても、このキャッシュレス化の波は押し寄せており、キャッシュレス決済を導入する業者がでてきました。

 

例えば、賃貸物件の家賃のクレジットカード決済です。

入居者からすると、毎月の家賃を振り込んでいる場合、その手間と振込手数料を省くことが出来れば、より便利でコスト削減にもなります。また、カードのポイントも貯まるのが魅力で、入居者の年齢層の中心である若者がより望むサービスでもあります。

また、毎月特定の日時に自動で決済されるようにしておけば、入居者の限度額などに達していない限り、家賃未払いの防止にもなるので、管理会社にとってメリットにもなります。

 

また、仲介業者の店舗でもクレジットカード決済や電子マネー決済ができるところが増えており、賃貸仲介手数料などがキャッシュレス決済できるようになっています。

 

このように、不動産業界でもキャッシュレス決済の導入は徐々に増えてきていますが、他の業界と比べると、まだあまり普及してないと言えます。

その理由は大きく2つ考えられます。

 

物件選びの決め手になりにくいから

入居者にとって物件選びの決め手となるのは、家賃はもちろん間取り、エリア、住みやすさなどです。

支払の時にクレジットカードを使えるか、支払いでポイントを貯められるかということを重要だと考える入居者は少ないとされているからです。

 

利益が減ってしまうから

クレジットカードの決済手数料は、原則としてサービスを提供する側が支払額に対して数%負担する仕組みとなっています。なので、取引額が高額となる分譲住宅購入の決済にクレジットカードを活用するとなると、よりハードルは高くなります。

また、クレジットカード決済の場合読み取り機器の導入にも費用がかかります。運用や初期導入にコストがかかってしまうので、利益を減らしてまで、あまりニーズのないキャッシュレス決済を導入する業者は少ないことが考えられます。

 

 

まとめ

政府の推進もあり、様々な業界でキャッシュレス化が進んでいる日本ですが、不動産業界では、現状まだそこまでニーズがないこともあり、他の業界に比べて普及が進んでいない印象です。

今後、日本のキャッシュレス化がますます進むことによって、不動産業界への影響も変わってくることが考えられるので、世間の情勢や流行を敏感に感じ取って、新しい仕組みを取り入れていくことが求められます。

 

 

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