最近の不動産投資家の傾向
不動産投資は、富裕層や地主、資金に余裕のある人が行うものというイメージが強いのではないでしょうか?近年では、「サラリーマン大家」という言葉も広まるなど不動産投資をする人の幅が広がってきた印象があります。
今回は、不動産投資の仕組みやメリットをおさらいし、最近の不動産投資家の目的や考えを読み解いていこうと思います。
不動産投資とは?
まず、不動産投資の仕組みについて簡単に説明したいと思います。
仕組み
不動産投資は、賃貸用の不動産(マンション・アパートなど)を購入し、それを他人に貸すことで家賃収入を得る投資手法です。
不動産投資をするには、購入費用が数千万単位となるので、株式投資などの他の投資と比較してもかなり高額となります。最も安い価格帯のワンルームマンションでも1,000万円~3,000万円程度が必要です。この投資額を自己資金で全てまかなうというのはあまり一般的ではなく、ほとんどの人が融資を受けて不動産投資を行っています。
数千万円の融資と聞くと、初めて不動産投資をする人にとっては不安が大きい金額かもしれませんが、不動産投資には「レバレッジ」という考え方があり、融資を受けて取り組むことに投資上の大きなメリットがあります。
不動産投資におけるレバレッジ効果は一言で「少ない資金でより大きな利益を得る」ことを指します。具体的には、少ない自己資金+銀行からの融資によって、当初の自己資金だけでは実現できないような投資効果を得ることができます。
レバレッジ効果の具体的なケースを見てみましょう。
【レバレッジをかけなかった場合】
レバレッジをかけないということはすべて現金で不動産を購入することになります。
例えば、1,000万円の自己資金のみで投資用不動産を購入するとします。
利回りが8%だとすると、
年間利益=1,000万円×8%=80万円
利益は80万円ということになります。
【レバレッジをかけた場合】
自己資金は、同じ1,000万円とし、利回りも同じく8%とします。
ここでレバレッジをかけ、銀行から1,000万円を借入して2,000万円の物件を購入するとします。銀行の借り入れ金利は3%とします。
年間利益=2,000万円×8%=160万円
ただし、お金を借りているので、金利として年間30万円(1,000万円×3%)を銀行に支払わなければなりません。
つまり、自己資金に対する年間利益は160万円-30万円=130万円となります。
このように、同じ1,000万円の自己資金でありながら、生み出される利益は異なり、レバレッジをかけた方がより一層自己資金を有効に活用できることが分かります。
メリット
不動産投資で得られるメリットは、大きく3つあります。
①年金効果
ローンを完済すればその後は家賃収入を丸々受け取ることが出来るので、家賃収入を年金代わりにすることができます。たとえばローンを65才までに完済できれば、それ以降を個人年金として期待することが可能です。
②節税効果
不動産投資で得た収入と本業の仕事の収入を合算して確定申告をします。不動産投資では原価償却費や修繕費などによりマイナス計上できることがあるため、赤字となると通算して本業で発生した所得を抑える効果があります。確定申告をすることで、源泉徴収された税金が一部返還されるということになります。
③生命保険効果
融資を受ける際に団体信用保険という保険に加入することで、ローンの借主に万が一のことがあった場合にローンの残金が全て保険で支払われます。その結果、遺された家族にはローンが完済された不動産が残り、毎月の家賃収入を得ることができます。
最近の不動産投資のタイプ
では、この不動産投資に取り組んでいる人たちについて詳しく見ていきましょう。
今までは、不動産を運用して稼ぐ「資産運用タイプ」や、不動産投資を活用して節税する「節税タイプ」が多くみられました。しかし、最近では、「リスクヘッジタイプ」が増えてきているように感じます。
この「リスクヘッジタイプ」とは、将来の年金額の不足や病気や事故のリスクなどに備えて融資などを受けて不動産を購入する方のことです。
リスクヘッジタイプが不動産投資をするのは、将来の金銭的な不安を少しでも解消するためです。年金で足りない分を補填してくれる安定した収入として不動産投資を選ぶ人はたくさんいます。
若いうちに融資を受けて不動産を購入・運用することで、本業を引退したあとも年金だけでなく家賃収入を合わせた収入を得ることができます。
リスクヘッジタイプの人は、リタイアした後もお金に不安を感じることなく生活できることを目指します。ローン完済後は、賃貸に出していた不動産に住むことを計画している人もいます。
まとめ
近年、幅広い年収・職業・年齢層の方が不動産投資を行うようになりました。そして、不動産投資家にはいくつかのタイプがありますが、最近では、将来の金銭的な不安に備える「リスクヘッジタイプ」が増えてきているように感じます。
これは、老後の資産形成を目指すためのiDeCoや積み立てNISAなどにも注目が集まっていることからも分かるように、将来年金だけで暮らすことに不安を抱えている人が増えてきているからだと考えられます。
様々な資産運用の方法がありますが、それぞれのメリットだけでなく、リスクやその対応策なども理解し、自分の目的にぴったりの投資をすることが大事なのではないでしょうか。