スルガ銀行 不正融資問題はどうなったのか?
不動産投資業界を激震させた「スルガショック」。
2018年の発覚から4年近く経ちましたが、今なお記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
以前にもこの問題についてはご紹介しましたが、さらにその後どのようになったのかを見ていきたいと思います。
前回の「スルガ銀行~不正融資問題のその後~」についてはこちら
(https://mareas.co.jp/post-2805/)をご覧ください。
シェアハウス向けの融資をめぐる不正融資問題
この問題で被害者となったオーナーの弁護団とスルガ銀行との間で、債務を免除する民事調停がこれまでに3回成立しています。
まず2020年3月にオーナー257名、被害総額約440億円、続いて2021年3月にオーナー285名、被害総額約440億円、そして3回目が、オーナー440名、債務総額約605億円が2022年4月に成立しています。
これら3回の民事調停成立により、弁護団とスルガ銀行共にシェアハウス問題は全面解決したとしています。
しかし、スルガ銀行は2019年5月に公表した「投資用不動産融資に係る全権調査の報告書」でシェアハウス向け融資以外にも融資関連書類の改ざんや偽造といった不正が認められたとしています。
1棟の投資用マンション向けの融資についての不正に関しても弁護団が発足しており、被害を受けたオーナーを対象にローンの債務減免などを求めていますが、これについては難航していて「不正融資」の根本的な解決まではまだ時間が掛かりそうです。
スルガ銀行の取り組み
シェアハウス向けの不正融資問題後の経営難からの脱出を図り、家電量販店大手の株式会社ノジマと2019年5月に資本業務提携をしました。
ノジマがスルガ銀行の株式を買い取ることで筆頭株主になり、業務面においても相乗効果の創出を目指していました。
取締役副会長にノジマの社長を迎えてもいましたが、資本業務提携が実質的な提携に至ることがなく、取締役副会長を2021年6月には辞任しており、その後2022年3月8日付で資本業務提携の解消がされています。
この解消によりノジマは保有していたスルガ銀行の株式(42,854,107株)を売却し、スルガ銀行がその株を取得しています。
経営回復の兆しが心配されますが、スルガ銀行としてはこの件が業績に与える影響は軽微としています。
不正融資問題により2018年に金融庁から業務改善命令を受け、スルガ銀行は業務改善計画に基づき、経営回復と共に大きく失われたであろう「信用」の回復にも努めてきました。
この問題の根本原因を「創業家本位の企業風土を抜本的に改めることが改革の前提条件」であるとし、創業家への責任追及と創業家ファミリー企業との融資及び資本関係の解消に取り組みました。
その結果、2019年10月に資本関係は保有していた株を売却することにより解消し、続いて融資関係についても不動産の売却により融資金の全額回収をもって解消され、創業家及びファミリー企業との関係解消が完了したとしています。
信用回復に大きな影響を及ぼすこの関係解消はスルガ銀行にとって大きな一歩と言えるのではないでしょうか。
そして、コアビジネスである投資用不動産ローンについても業務停止期間解除後にこれまでよりもリスクを押さえた事業モデルへと転換し再開しています。
それまでほとんど接点のなかった富裕層・準富裕層を対象にローンを提供すべく積極的に取り組んでおり、コロナ禍においても電話・メール・TV会議等の活用により対象のお客様からのローン申し込みが増加しているようであり、経営の回復についても一歩ずつ進んでいるのではないでしょうか。
まとめ
不正融資問題以降、融資審査が厳格化され金融機関が頭金を求める傾向はより強くなり、特に一棟物件のフルローンは難しくなっています。
投資用不動産業界に多大な影響を与えたこの問題の未解決部分に関しても早期解決に向けて真摯に取り組んで一日も早い解決を願います。
不動産投資をするにあたって多くの方が金融機関での融資を必要とします。
今回のような問題が今後一切起こり得ないとも限らないので、ご自身を守るためにも情報収集や担当者との密なコミュニケーションはこれからも必要ではないでしょうか。