不動産業界にとってのSDGs
近年人々の「SDGs」に対する関心が高まる中、多くの企業がSDGsへの取り組みをはじめており、事業者にとっては社会的評価の一つの指標ともなっています。
不動産業界にとっても、無関心ではいられないテーマになってきました。
今回は、不動産業界が取り組むSDGsの内容や具体的な事例をご紹介します。
SDGsとは?
「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
2015年に国連で開かれたサミットで各国の代表によって採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げられています。
持続可能でより良い世界を目指すために、「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されており、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。
この17の目標は、「社会・経済・環境」の3側面から捉えることのできる目標を設定しており、社会面では貧困や飢餓、教育など、経済面ではエネルギーや資源の有効活用、経済成長など、環境面では地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境アジェンダを提唱し、これらの問題を解決しながらより良い未来を築くことを目指しています。
内容は、以下のようなものとなっています。
1、貧困をなくそう
2、飢餓をゼロに
3、すべての人に健康と福祉を
4、質の高い教育をみんなに
5、ジェンダー平等を実現しよう
6、安全な水とトイレを世界中に
7、エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8、働きがいも経済成長も
9、産業と技術革新の基礎をつくろう
10、人や国の不平等をなくそう
11、住み続けられるまちづくりを
12、つくる責任、つかう責任
13、気候変動に具体的な対策を
14、海の豊かさを守ろう
15、陸の豊かさも守ろう
16、平和と公正をすべての人に
17、パートナーシップで目標を達成しよう
参照:外務省HP(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html)
不動産業界のSDGs
不動産業界においても、SDGsにより人々に必要とされる不動産に変化がでてきました。
経済が成長していた時代は、大量生産大量消費のサイクルに乗って、不動産企業は次々と開発を行い、大量の家やマンション、オフィスビルが作られ続けてきました。そして、それを上回る勢いで、人々がそれを消費してきました。
しかしその陰で、景観が壊され、森林や海の生態系が乱され、水や空気が汚染されてきました。また、自然に還元できない建材を使うことにより、ゴミの問題も増え続けてきました。
これがSDGsにより、環境にやさしく、自然にやさしい、愛着を持って長く使う不動産が求められてきています。その為、以下のような要素を含んだ不動産が今後のスタンダードになるように、各企業が取り組みはじめています。
・建物のライフサイクルに沿った適切なサポートをする
・周辺環境の生態系を壊さない建築をする
・周辺環境や文化に調和した建築をする
・省エネルギー、省資源、リサイクルする
・人と環境に有害な物質は使わない
これらの達成に向け、不動産業界でも多くの企業がそれぞれなりのやり方で取り組んでいます。
例えば、あるリノベーション会社では、住宅の再利用を促進することで木材使用料や二酸化炭素排出量の削減に努めていたり、社内で使う紙を減らすためFAXのペーパーレス化やシュレッダーの活用によるごみの減量、古紙回収や裏紙の再利用といった活動で資源を節約しています。
また、ある不動産会社では、中古賃貸マンションの運営により、作ったものを長く使う工夫やひとり親家庭への家賃支援プランを用意し、貧困をなくすよう努めているところもあります。
まとめ
かつて、SDGsはグローバルな活動をする企業が中心となって取り組むことが多いイメージだったかと思います。しかし、近年は中小企業にとっても意識すべきものとなってきました。
不動産業界は、人々の生活に密接に関わる「住宅」と結びつきが深い業界であるため、本来SDGsの中でも重要なポジションといえます。
既存住宅の活用や住宅建築など様々な点で、持続可能な社会に向けて、企業としてまたは個人としてでも、出来ることを考えて実践していくことが大切です。