ジャングリア　開業3ヶ月の今　

2025年7月25日、沖縄北部にジャングリアがオープンしました。

ジャングリアは、地域の新たな観光の目玉として、経済を活性化させる存在として注目され、広大な敷地に映画の世界のような体験ができるテーマパークとして、SNSでも話題や期待を集めました。実際に沖縄でのアンケートでも、「観光客が増える」「町がにぎやかになる」「仕事が増えるかも」など、様々な期待が集まっていました。

それから3ヶ月が経過し、開業当初の熱気がひと段落した今、ジャングリアは本当に地域の期待に応えているのか。その実態を探るべく、調べてみました。

開業前の高まる期待　

様々な期待を胸に、ジャングリアはオープンしました。ここでは、開業前に特に注目されていた主な期待についてご紹介します。

〇「素通り観光」から「滞在型観光」へ

沖縄本島北部は豊かな自然に恵まれていながら、観光客の多くが日帰りで通過する「素通り観光」が長年の課題でした。そんな中、ジャングリアは北部の自然を活かしたテーマパークとして登場し、地域では、観光や経済を盛り上げる力になってくれると期待されていました。

〇他の大型テーマパークとの差別化

鉄とコンクリートの遊園地とは異なり、沖縄の大自然と融合した非日常体験を提供するジャングリア。SNS映えする絶景や予測不能な驚きによって、リピーターにも新鮮な感動を届ける仕掛けがある点で期待が寄せられていました。

〇経済効果への期待

開業から15年間で約6兆8000億円の経済効果が見込まれ、初年度だけでも約7万人の雇用が生まれるという試算が発表されていて、沖縄全体の未来にも大きな影響を与えると期待されていました。

このようにジャングリアには、地域再生の希望、自然との一体感、そして経済的な夢が重なり、開業前から大きな注目と期待が寄せられていました。 しかし、その期待があまりにも大きかったからこそ、様々な意見が出てきました。

実際の来場者の声と課題

実際にオープンしてから来場したお客様は、どんな感想を抱いたのでしょうか。現地では期待と現実のあいだで様々な意見が飛び交っています。

〇ポジティブな意見

・毎日開催されている「スプラッシュフェス」が大人も子供も楽しめる

・唯一無二の自然体験アトラクション「ダイナソーサファリ」は想像の３倍楽しい

・ご飯が美味しく、テーマパークのクオリティを超えている

・世界最大級のスパのクオリティが高く、スパだけでもリピートしたい

〇ネガティブな意見

・アトラクションに乗れない開園直後に整理券が終了し、最長5時間待ち「プレミアムパスがないとほぼ乗れない」という声も多い

・沖縄の炎天下とスコールに対し、屋根や日陰、休憩場所がほとんどないのでアトラクションの待ち時間がしんどい

・広告やCGで描かれた幻想的な世界観に対して、実物とのギャップが大きすぎる

このように、アトラクションの待ち時間や整理券システムなどに対する不満も聞こえてきますが、ジャングリアは「小さく生んで大きく育てる」方針のもと、運営改善や体験価値の向上に取り組んでいくようです。他の大型テーマ―パークとどうしても比較されてしまいがちですが、沖縄の自然に寄り添った新しい観光の場所として、今後の発展や成長に期待していきたいところです。

周辺への影響

ジャングリアがオープンしたことで、沖縄北部も徐々に変化してきているのではないでしょうか。

開業前には交通渋滞による生活環境の悪化が懸念されていましたが、那覇空港などと結ぶシャトルバスの運行や敷地内駐車場の利用制限といった運営側の対策が功を奏し、現時点では目立った混雑は発生していません。

一方、これまで日帰り利用が中心だった北部の人の流れには変化が見られてきています。

名護市内のホテルでは、入場チケット付き宿泊プランの導入などもあり、例年より高めの料金設定にもかかわらず、週末は満室状態が続いているそうです。

飲食店では「宿泊客が街でお金を使ってくれることに期待している」との声がある一方で、宿泊費の高騰が観光客の消費意欲に影響を与える可能性も指摘されています。

開業前に懸念されていた交通渋滞を運営側の工夫で回避し、地域の経済にも少しずつ良い影響が広がっています。名護市内のホテル稼働率は大きく上昇し、飲食店なども新たな人の流れに期待を寄せている一方、宿泊費の高騰による消費意欲への影響などの課題は残りますが、今後改善されていくのではないでしょうか。

沖縄全体で年間1000万人の観光客をさらに増やすためには、ジャングリアがどのように地域と共に成長していくのか。ジャングリアには中長期的に注目する必要がありそうです。