タイを訪れて見えてきた不動産事情
日本と海外では「不動産」の呼び方に違いがあり、タイでは日本の「分譲マンション」のことを「コンドミニアム」と呼ぶことが一般的です。
今回訪れたタイでは、日本と似た交通網や、観光産業の発展に伴った地域ごとの異なる街づくりを垣間見ることができました。
現地で感じたことを交えながら、タイの不動産事情についてご紹介します。
バンコクとパタヤから見るタイの街並み
今回訪れたのは、首都・バンコクと、タイを代表するリゾート都市・パタヤです。
バンコクとパタヤ両方の都市部では、道路に車やバイクが多く行き交い、交通量の多さに驚かされます。両都市共に郊外では、「ムーバーン」と呼ばれる「一戸建てを中心とした住宅街」があり、そのエリアには複数の住宅が連棟する「タウンハウス」が見られます。「都市部で働き郊外で暮らす」という構造は日本とよく似ています。エリアによって異なる街並みがはっきりと広がっているところから、都市計画がしっかりしていることを感じ取れました。
まず訪れたバンコクでは、BTS(バンコク・マス・トランジット・システム)と呼ばれる高架鉄道などを中心に住宅や商業施設が発展し、近代的な街並みが広がっています。駅周辺には住宅や大型商業施設、オフィスビルが集まり、駅から徒歩圏内で生活に必要な施設がそろう利便性の高い環境が形成されていました。
一方、パタヤは、海沿いの立地を生かしたリゾート都市として発展しており、ビーチ周辺には観光客向けの商業施設が充実していました。夜にはウォーキングストリートを中心に飲食店や娯楽施設が多く集まり、観光客でにぎわいます。昼間の開放的なリゾート地と、夜の活気ある繁華街という二つの表情を持つ街並みが印象的でした。
タイの街が発展した背景
バンコクとパタヤは、同じ国内でも異なる背景から発展してきました。その歴史の違いは、現在の街並みや不動産市場にも表れています。
バンコクは、1980年代以降の経済成長に伴い企業や人口が集中し、住宅需要が高まりました。しかし、都市部では土地に限りがあることから、限られた土地を有効活用するため高層コンドミニアムの開発が進みました。また、人口増加による交通渋滞を解消するためBTSなどの交通機関が整備され、駅周辺には住宅や商業施設、オフィスビルが集まるようになりました。
交通機関の発展により人の流れが変化し、駅周辺の不動産価値が高まったことは、バンコクの街づくりの大きな特徴といえます。
パタヤは世界有数のビーチリゾート地として知られていますが、もともとは小さな漁村でした。観光地として発展したきっかけは、ベトナム戦争中に米軍兵士の保養地として利用されたことです。その後、国内外から観光客が訪れるようになり、ホテルや飲食店、商業施設などの整備が進み、タイを代表する観光都市へと成長しました。こうした歴史から、現在のパタヤにはタイらしさの中にも、アメリカの影響を感じられる雰囲気があります。
観光産業の発展に伴い、短期滞在者向けのホテルだけでなく、長期滞在者や海外からの移住者向けのコンドミニアムも多く供給されるようになりました。海沿いの立地や温暖な気候を求める外国人需要があり、パタヤは生活の場だけでなく、投資対象としても注目される地域へと成長しています。
バンコクは「交通機関の整備」を軸に発展した都市、パタヤは「観光産業」を軸に発展した都市です。このように、不動産は建物を供給するだけではなく、その地域の産業や人の流れ、都市の成長と深く結びついています。バンコクとパタヤは、それぞれ異なる発展の過程をたどりながら、現在の街並みや不動産価値を形成してきた都市といえるでしょう。
日本と異なる不動産事情
今回タイを訪れて日本との違いを感じたのは、コンドミニアムを中心とした暮らし方と、共用施設が充実していたことです。
日本では戸建て住宅やマンションなどさまざまな住まいの形があります。一方でタイの都市部や駅周辺では、高層コンドミニアムが数多く建ち並び、日本とは異なる住宅の景観が広がっていました。タイのコンドミニアムでは、プールやフィットネスジム、ラウンジなどの共用施設を備えた物件が多く存在します。実際に街を歩いていても、ホテルのような外観のコンドミニアムが数多く建ち並び、居住者の快適性を重視した設計が多いと感じました。
また、タイと日本では不動産の所有制度に違いがあります。日本では、外国人による土地や建物の購入に大きな制限はありませんが、タイでは外国人による土地の所有は原則として認められていません。これは、国内の土地が外国人に買い集められ、タイ人が土地を取得しにくくなることを防ぐためです。ただし、一定の条件を満たせばコンドミニアムなどの建物は購入することができます。外国人投資家や海外居住者の間でも魅力的な案件も増え、投資需要が高まってきています。
タイ不動産から学べること
タイの街並みを実際に見ることで、不動産はその国の経済成長や都市の発展と深く結びついていることを改めて実感しました。
バンコクでは交通機関を中心とした都市開発が進み、駅周辺には高層コンドミニアムや商業施設が集積していました。一方、パタヤでは観光産業を背景にリゾートマンションやホテルが建ち並び、それぞれ異なる発展の形を見ることができました。
日本とタイでは住宅の形や不動産制度に違いがありますが、交通機関や生活環境が充実したエリアに人が集まり、不動産価値が高まるという点には共通する部分があります。
旅行では観光地だけでなく、街並みや住宅、交通機関にも目を向けることで、その国ならではの不動産市場や都市の発展をより深く知ることができます。今後も海外を訪れる際には、その土地ならではの街づくりや不動産事情について紹介していきたいと思います。

