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コラム

中国発『不動産バブル崩壊』は起こるのか ~その1~

今年、中国の不動産業界に激震が走りました。

中国最大級の不動産会社「恒大集団」が経営危機に陥り、会社破綻と中国版リーマンショックへの警戒心が強まっているのです。

今回は中国不動産がどのようなものなのか、また、なぜバブル崩壊の危機なのかを紐解いていきます。

 

中国不動産の成り立ち

まず、中国の不動産市場はどのような成り立ちなのかを見ていきましょう。

 

不動産というと、土地と建物の大きく二つがありますが、日本ではその両方を個人で所有することができます。

中国の場合、土地の所有権は国が持っており、売買されるのは建物だけとなります。ただ、建物を買った人にはその土地の使用権が与えられます。その使用権が建物価格に含まれているということです。使用権は、住宅は70年、工場用地は50年というように、用途によって年数が限られています。形式上、建物を買った人は期限がきたら土地の使用権と共に国に返さなければなりませんが、住宅用地使用権の期限が満了した場合は自動更新となります。

 

このように「使用権」という形で都市部の家や土地を売買できるようになったのは、1998年の住宅制度改革の実施以降です。この頃は、かなり低い価格で住宅を入手することができました。都市部に住んでいる人々が格安で入手した不動産は、一定期間転売が禁止されていましたが、上海などを皮切りに次第に転売が許されるようになり、大都市部を中心に将来の値上がりと転売を狙った投機が目立ち始めました。

 

2000年代に入ると、高値で転売した資金で新しい不動産を購入し、そこが値上がりすればまた転売して莫大なお金を手にする人が増えていきました。価格が10倍以上になることも珍しくなく、一般市民には手が届かないほど住宅価格が高騰し、バブルへとつながっていきます。中国国家統計局のデータによると、住宅の販売価格は2000年から2020年までの20年間で約5倍にも膨れ上がっています。

不動産業界では、土地を担保に金融機関などから大量の融資を受けてマンション開発などに回し、そこで得た利益を再び投資に充てるという好循環が続いていました。

これらのことから、中国では不動産は「値上がりするもの」という認識を多くの人が持っており、「不動産は値上がりし続ける」という神話が定着するほどでした。こういったことや、中国の経済成長、都市住民の増加も伴い不動産ブームが盛り上がっていきました。

 

 

なぜバブルが崩壊すると言われているのか?

このように中国不動産はしばらくバブル状態が続いていました。

一体何が起こって世界経済への影響も懸念されるような問題となったのでしょうか。

 

事の発端は、不動産会社「恒大集団」です。中国の不動産最大手の1社であり、住宅やマンション開発を手掛ける典型的なデベロッパーです。ここ数年間で大きな成長を遂げ、中国国内の280以上の都市で1,300以上の不動産関連事業を行い、860社以上の企業と戦略提携しています。不動産業以外にも、サッカークラブ経営、インターネット関連サービス、保険、電気自動車販売など、様々な事業を展開しています。

 

世界の中でもかなり大きな企業へと成長した「恒大集団」ですが、この急成長の裏には中国不動産価格の上昇がありました。恒大集団は不動産バブルの勢いに乗り、マンション開発を進めることで不動産価格上昇の追い風を受け、収益を増大させていきました。

しかし、先行投資であるために銀行や投資家から多額の資金を集め、気付けばその負債総額は約33兆円まで積み上がっていたのです。

 

なぜここまで負債が膨れ上がってしまったのでしょうか?

恒大集団は、これほどの負債がありますが黒字経営が続いており、高い営業利益率を確保していました。しかし、無理な投資を高い負債比率で行っていたことに問題がありました。そもそも不動産業は物件取得や建設のために負債が他業界よりも高くなる傾向がありますが、恒大集団の2020年度の負債比率は1,327.9%と、中国不動産業界2位の会社よりも約1.7倍も他人資本に頼っていたことになります。一般的には負債比率が901%を超えると倒産の可能性が高まると言われているので、かなり高い数値であることが分かります。

さらに、不動産販売などの営業活動によるキャッシュフローがマイナスの状態でも、投資活動を辞めずに資金調達によってマイナスを補っていたのです。

 

そしてもう一つの原因として考えられるのが、中国政府による規制強化です。

政府は格差を是正するために「共同富裕」の実現を掲げ、IT規制や教育規制など様々な取り組みを進めてきました。そのような取り組みの中で、住宅価格の高騰抑制は優先課題の1つとなっていました。そこで、「総負債比率」「純負債資本比率」「現金短期負債比率」の基準を定め、その基準に該当する項目が多いほどきつい制限がかかるようになりました。

恒大集団は3つ全ての基準に該当していたため、銀行からの融資に制限がかかり、資金繰りが難しくなりました。

このように、恒大集団は無理な投資で負債を増やしたうえに、政府からの規制強化によって資金調達が厳しくなったことで、デフォルト(債務不履行)の危機に陥っているという事です。最近でも、10月が支払期限のおよそ170億円の利払いを行わず、30日間の猶予期間に入ってから瀬戸際でデフォルトを回避したことが報じられていました。しかし、いまだ35兆円の債務を抱えているので、保有資産の売却を急ぐなどしており、厳しい状況が続くとされています。

 

まとめ

中国では、1998年以降人々が自由に不動産を売買できるようになり、価格が上がり続けていました。その勢いにのって成長してきた大手不動産会社「恒大集団」ですが、政府による規制強化の影響などで資金繰りが厳しくなり、先行投資をして抱えていた多額の負債の返済が困難になり、デフォルトの危機に陥っているのです。

そして資金繰りに苦しんでいるのは恒大集団だけではなく、資本構造が似ているその他大手デベロッパー会社はもちろん、その関連会社までデフォルトに陥る可能性もあるとされています。大手不動産会社が続々と経営難に陥ることによって、中国の不動産バブル崩壊の危機が高まっているのです。

このように、膨らみ続けた事業は落としどころを失い、いずれ弾けるしかない状況に向かっており、日本のその時と似た流れになっています。

世界の不動産状況は、海外不動産投資の側面だけでなく、株価などにも影響をあたえます。

注視して未然に防げるリスクは回避しましょう。

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