大阪の未来予想図Vo.3~新大阪駅周辺の変化~
大阪の玄関口・『新大阪駅』。大阪で唯一新幹線が乗り入れする駅ですが、これまでは単なる乗り継ぎ駅のイメージが強かったのではないのでしょうか。しかし今後、このイメージが大きく変化するかもしれません。
2022年10月、政府は『新大阪駅周辺地域』を『都市再生緊急整備地域』に指定することを閣議決定しました。指定された地域は、都市計画等の規制緩和や金融支援・税制支援措置等が適用可能となり、再開発が活発化する見込みです。
大阪府市はリニア中央新幹線など複数の鉄道新線の乗り入れを見据え、『新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域まちづくり方針2022』を2022年6月に取りまとめています。
では具体的にどのような再開発が計画・着手され、新大阪駅周辺はどのような変化を遂げていくのか、それに伴い予想される新大阪駅周辺が持つ不動産投資のポテンシャルをご紹介します。
リニア中央新幹線全線開通に向けて
今回のまちづくり方針では、新大阪駅周辺地域が担うべき役割として
①スーパー・メガリージョンの西の拠点
②広域交通のハブ拠点
③世界につながる関西のゲートウェイ
の3つを掲げています。
リニア中央新幹線など新幹線新駅関連プロジェクトと民間都市開発プロジェクトを組み合わせ、都市機能の向上を目指します。
新幹線新駅関連プロジェクトの内容としては、「広域交通結節施設の機能向上」「駅とまちをつなぐ歩行者同線(歩きたくなるまちなか)」「大規模交流施設の立地」「新大阪連絡線新駅プロジェクト」の検討の具体化を進めるとしています。
現在、阪急電鉄では新大阪駅と阪急十三駅を結ぶ『新大阪連絡線』と、十三駅から今年3月に開業した『うめきた地下ホーム』を結ぶ『なにわ筋連絡線』の整備を進めています。この路線は2031年開業を計画中の大阪駅(うめきたエリア)とJR難波駅、南海本線の新今宮駅を繋ぐ『なにわ筋線』と直通する予定で、これが完成すれば関西空港から新大阪駅へのアクセスが格段に向上します。これによりインバウンドや国内客の輸送需要を取り込みやすくなるでしょう。
また、『歩きたくなるまちなか』と題した歩行者の空間を確保する方針としてデッキネットワーク(まちへの広がり、歩車分離 等)、ユニバーサルデザイン等を基本とし、単なるターミナル拠点ではなく駅からまちに人を引き出して、エリアの価値を高めていく取り組みも進めていきます。
ビジネスエリア新大阪
新大阪駅は新幹線をはじめ主要鉄道路線が複数集中しており、各主要都市へのアクセスに優れていることから、卸売業など全国展開企業のオフィスが多数立地しています。
近年、そこへ更に新たなオフィスビルを開発する動きがあります。JR西日本不動産開発株式会社は2022年春、立て続けにオフィスビルを2棟開業させています。今後の北陸新幹線やなにわ筋線、リニア新幹線の乗り入れ計画による更なる発展を見込んで、新大阪エリアの拠点性向上に寄与する開発であると発表しました。
また、2021年には野村不動産が関西エリアでは初供給となるオフィスブランド、「PMO EX新大阪」と「H1O新大阪」を開業しました。
他にも名鉄都市開発株式会社は2024年に開業を目指し「(仮称)新大阪南オフィスプロジェクト」を進行していたり、ビジネスホテルも続々と開発されていたりと今後もビジネスエリアとしての新大阪は更なる発展を遂げていくのではないでしょうか。
オフィスビルの開発だけでなく、新幹線新駅関連プロジェクトのひとつである「大規模交流施設の立地」もビジネスエリア新大阪を盛り上げる一因になると考えます。大阪と世界や日本中を繋ぎ、交流促進のシンボル的な機能として多くの人が集まれるホールなどの大規模交流施設の立地が新大阪をビジネス拠点として加速させる需要な役割を担うと思われます。多目的に活用できる空間とすることでBtoB、BtoCなどのイベントがジャンル問わず幅広く人の集積を図るため、ビジネス、産業、エンターテインメントなど広い分野での交流の促進が見込め、また施設の立地に伴い周辺への関連企業や人材の定着促進が期待できます。
不動産投資における新大阪のポテンシャル
ここまでご紹介した交通網の充実、ビジネスエリアとしての発展などに起因して、新大阪の地価は2019年、2020年と大幅に上昇しました。賃貸市場においても、キタやミナミに比べ賃料に割安感がある新大阪の人気が高まっているとの見方があるようです。
今後も高まるであろう新大阪エリアのビジネス需要を考えると、職住近接の観点から周辺のマンション相場の上昇も想像でき、不動産投資におけるポテンシャルも非常に高いものがうかがえます。
大阪といえば「キタ」と「ミナミ」が経済の中心となっていますが、近い将来「新大阪」が巻き返す日が来るかもしれません。
『新大阪駅』周辺の今後の動向に注目していきましょう。