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コラム

迫りくる老朽化 「団地」はどうなってしまうのか

今、「団地の老朽化」が深刻な社会問題となってきていることはご存じでしょうか。「団地」とは一般的に、都市再生機構の公団住宅や公営住宅を指します。高度経済成長期に都市に人口が集中し、住宅が不足したため大量に建築された団地は、現在ではその多くが築40年を越えています。

一言に老朽化といっても、その問題は単に建物が古くなったというだけではなく、「物理的老朽化」「社会的老朽化」「入居者の高齢化」など、様々な側面があります。今回は、それぞれの面から表面化している問題と、各地で行われている解決に向けた取り組みをご紹介し、今後の「団地」がどうなっていくのか考えていきます。

 

そもそも団地とは

団地と聞くと、世帯数が多い、家賃が安い、築年数が古いなど大まかなイメージはあるかと思いますが、具体的にどのような場所かは知らない方も多いのではないでしょうか。

日本の団地の始まりは、太平洋戦争終結後の昭和20年代初頭、日本国内の住宅が不足したことからそれを解消するため「公営住宅法」、「日本住宅公団法」などが制定され、公営住宅、公団住宅など鉄筋コンクリート(RC)造の共同住宅が数多く建設されたことで、複数の住棟が立ち並ぶエリアが形成されたことが起源になります。

当時の家屋で一般的であった寝食一体の部屋構成から、現代では一般的となったダイニングキッチンと寝室などにより構成される寝食分離設計の住宅が建設され始めたのもこの時期です。台所に流し台、浴室に水洗トイレが設置されるなど、近代的な生活スタイルの団地は憧れの的となり、入居の申込みが殺到しました。今のイメージとは真逆の、最新鋭で家賃も高めのエリート層が暮らす場所だったのです。

その後、昭和30年代から40年代の高度経済成長期にあわせて団地の建設が盛んに行われ、ベビーブーム到来もあり20代から40代の子育て世代が数多く生活を送ってきました。近隣には教育機関、金融機関、店舗など生活関連施設が併設されたニュータウンとなり、暮らしやすい環境が整っていたようです。

しかし、昭和50年以降の30年代、40年代に入居され始めた方々が一通り出産を終えられた頃には、一気に少子化が進み始めました。その結果、小学校が縮小、廃校となっていき、店舗が閉鎖されるなど団地住まいの利便性が損なわれるケースも見られ始め、不便で高齢者が多いという現在のようなイメージへと変化していきました。

 

「団地」が抱える老朽化問題

それでは、団地は今、どのような問題に直面しているのでしょうか。

ひとつは、建物自体の「物理的老朽化」です。築40年という歳月を経ていれば、水回りや外壁など、あらゆる箇所の劣化は避けられません。また、建築基準法の改正があった昭和56年以前に建築の団地には、一部耐震上の問題が発生しているものも存在します。

次に「社会的老朽化」です。住まいというのは、時代によって求められるものが変化していきます。例えば、団地の普及からスタンダードになりだした寝食分離、つまり部屋を分ける間取りですが、現代ではダイニングと居間を一緒にした「LDK」の方が好まれ、多く見られるようになりました。

また、4階から5階建ての団地にはエレベーター無しという物件も多くあります。そのような条件ではなかなか居住者も集まりにくく、特に4階、5階部分での空室が増えている実情もあるようです。

最後に、「入居者の高齢化」です。団地は、一般の賃貸住宅と比べ、平均居住期間が長い傾向にあります。昭和40年代頃の団地の建設当初から居住し続けている住民は、当時30歳であれば現在は70歳を越えています。

入居者の高齢化が進めば、エレベーター無しの団地では生活が困難になり転居、空室率の増加などに繋がります。また、いわゆる「ご近所付き合い」や生活関連施設などのコミュニティの弱体化も懸念されます。

このような各種老朽化に伴い、空室の増加から団地が廃墟のようになり、衛生環境や景観の悪化、そして治安の悪化にも繋がっていくことが問題となっています。

 

各地で行われる「団地再生プロジェクト」

このような団地の抱える老朽化問題を解決すべく、多数の地域で大規模な再開発が行われています。今、若い世代で人気を集めているリノベーションです。古いとはいえ既存建物を十分に活かせる団地も多く、リノベーションを行うことで、居住性能の向上と、若者が住みたくなるオシャレさを実現しています。

例えば、注目を集めているのがUR都市機構と無印良品(MUJI)が共同開発したリノベーション団地。「MUJI×UR団地まるごとリノベーション」と題されたプロジェクトでは、団地住戸だけでなく、周辺の屋外施設や商店街区までリノベーションの対象を広げ、地域コミュニティの形成に取り組むことで、団地を拠点とした地域の生活圏の活性化を図っています。

他にも、単なるビルの維持管理だけでなく、不動産の経営戦略面でも高い評価を受けている神奈川県住宅供給公社が運営する「浦賀団地」では、高齢者が住みにくい4階、5階部分の空室が目立っていたことに着目し、「団地活性サポーター制度」を導入しました。県立保健福祉大学の学生に「サポーター」として入居してもらい、大学で学ぶ専門分野を活かしてコミュニティの担い手として活動してもらっています。学生たちは率先してボランティア活動を行ったり、地域のお祭りやイベントに参加したりしてコミュニティを盛り上げています。

このような大規模なリノベーションやサポーター制度などで若者の新たな入居を促すだけでなく、各行政や法人団体などが主体となって、高齢の住民の健康を促進するイベント「まちかど保健室」の開催や、空き家を福祉施設としてリフォームし活用するなど、様々な視点から団地の再生、活性化を図る動きがあります。

国土交通省は令和4年3月に「住宅団地再生の手引き」を公表しており、今後も充実した支援のもと、団地の再生は続いていくでしょう。

 

団地が目指す未来

ここまでご紹介してきたように、団地の直面している問題に対し、様々な取り組みが行われ、その打開が試みられています。その取り組みが成功している事例も多々あり、リノベーションを行ったことで入居募集に対し通常の2倍の応募者を獲得できたという団地も存在します。

子育て世代を始め、様々な人が暮らしやすい、一大コミュニティとしてかつては発展した団地。まだまだ再開発に対するハードルが残る部分はあります。しかし、駅からの距離が近かったり、大きな公共施設があったりと、他のマンションと比べても優位性のある物件については、新たに手を加えることにより、もう一度人が集まり、賑わう団地として新たな価値を持つ未来も遠くないのかもしれません。

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