台風によるマンションのリスク
今年の8月から9月にかけて発生した台風10号は、日本列島に記録的な大雨や暴風をもたらし、大きな影響を与えました。マンションは、台風による被害を受けづらいと思いがちですが、実際にはそうではありません。マンションの高層階に住んでいたとしても、強風や豪雨によって深刻な被害をもたらす可能性があります。毎年やってくる台風シーズンを安全に乗り越えるためには、事前の対策が欠かせません。
今回は、マンションの台風被害のリスクと対策をお伝えします。
マンションの台風リスク
マンションは強度のある鉄筋コンクリート(もしくは鉄骨鉄筋コンクリート)造のため、台風の雨風で建物自体が損壊することはほとんどありません。しかし、飛来物によって窓ガラスが破損することや、雨水の浸水などの被害を受けることがあります。
過去には地下にあった電気設備が浸水し、停電・断水が起きました。エレベーターが使用できなくなり、ライフラインに大きな被害を受けてしまうこともあります。一般的に、戸建てに比べマンションは断水が起きやすいとされています。
マンションの台風対策
被害を最小限に抑えるため、台風がくる前にしっかりと事前対策する必要があります。
その中でも重要なものを何点かご紹介します。
①バルコニーにあるものを室内に移動させる
強風自体ではなく、飛来物によって窓ガラスが割れてしまう可能性があります。物干し竿やバルコニー家具といった屋内に入れることが難しいアイテムは、金具やロープでしっかりと固定させましょう。
②バルコニーの溝・排水溝を掃除する
バルコニーは泥、髪の毛、洗濯物から出た綿ボコリなどで汚れています。これらのゴミが雨水で絡まりあうと、排水溝が詰まってベランダが水浸しになり、下の階や周りの住戸に迷惑をかける恐れがあります。
③駐車場の車を移動させておく
浸水の可能性がある駐車場や、地下駐車場を利用している場合は、事前に車を移動さ
せておきましょう。また、機械式駐車場の場合、故障してしまうと長時間車を移動させることができません。車を使う頻度が高い方や台風通過後にすぐに車を使用したい方は、注意してください。
④飲料水や食料の備蓄をしておく
短時間に大雨が降ると住宅地での内水氾濫を引き起こしやすく、エレベーターも影響を受けやすいので、4階以上に住む方は必ず3日以上、できれば1週間分の備蓄をしておきましょう。
⑤ハザードマップの確認
そもそも浸水被害がありそうな物件は避ける方が無難です。それでも気に入ったマンションの購入を検討する場合、ハザードマップを確認しておきましょう。地域の状況に応じた防災対策を立てることができます。国土交通省が運用する「ハザードマップポータルサイト」では、全国の市区町村が作成したハザードマップを確認できます。また、実際に災害が起こったときの避難経路が複数ある物件であればさらに安心です。
台風被害を受けた場合の補償
マンションの共用部分(エレベーターやエントランスホールなど)で起きた被害は、管理組合で加入している保険が適用されます。一方、個人の専有部分が被害を受けた場合は、個人で加入している火災保険を利用することになります。そのため、保険の種類や契約内容を確認しておく必要があります。格安すぎる保険や昔加入したままで契約内容を見直していない保険は要注意です。補償内容が極端に薄く、いざという時に役に立たない可能性があります。最近は、火災保険の特約内容が多様化しており、保険会社によって補償内容にも違いがあります。
まとめ
異常気象と言われている昨今、台風の発生や上陸が多くなってきています。
また、短時間に降る多量の雨や暴風による影響で、予想以上に甚大な被害をもたらすことも増えているように感じます。一部の高層マンションでは、停電になっても暮らし続けることができるよう非常用電源の設置や、水・食料を含めた災害備蓄、災害時でも使用できるトイレが準備されているので、ご自身のマンションの防災設備などを確認しておくと安心です。自宅への被害を最小限に抑え、なおかつ周囲に被害を与えないためにも事前に対策をしっかり行い、台風に備えましょう。