昨年話題になった「みんなで大家さん」問題について
近年、投資への関心が高まる中で「みんなで大家さん」に代表される不動産の小口化投資が注目を集めてきました。一方で「みんなで大家さん」をめぐる問題は、2025年に入り、全国の出資者が返還を求めて集団で訴訟を提起する事態にまで発展し、多くの投資家にとって不安を感じる出来事となりました。
報道によれば、出資者は1,000人を超え、請求総額も100億円規模に及ぶとされています。背景の一つとして指摘されているのが、成田空港周辺で計画されていた開発プロジェクト「ゲートウェイ成田」の事業が想定どおりに進まなかったことです。成田空港周辺の開発計画の遅れや、高利回りを前提とした事業計画のリスクが表面化した事例といえます。
本コラムでは「みんなで大家さん」とはどのような投資商品なのか、なぜ人気が出たのか、そしてこのようなトラブルから身を守るためのポイント等を解説します。
「みんなで大家さん」とは?
「みんなで大家さん」は、複数の投資家から資金を集め、不動産や不動産関連事業に投資し、その収益を分配する仕組みで、「不動産特定共同事業法(不特法)」と呼ばれる制度に基づいて運営される不動産投資商品です。
特徴として、1口あたりの金額が比較的少額(1口100万円程度)から始められ、年利6.0%~7.0%といった高い想定利回りを長年掲げてきました。
一般的な現物不動産投資(マンション1棟や1区分を購入すること)に比べ、投資家は物件を直接所有・管理するわけではなく、運営会社に事業を任せ、賃料収入などを資源とした分配金を受け取る形になるため、不動産投資の入口として紹介されることもありました。
「自分で物件を選んだり、入居者対応をしなくてよい」という点は、投資経験の少ない方にとって、大きな魅力だったといえるでしょう。
表面化した問題点とその背景
2025年に入り、いくつかの大規模な案件で、配当金(分配金)の支払い遅延や停止が起こり、出資者から不安や不満の声が上がりました。具体的には以下のような問題が報じられています。
・分配金(配当金)の支払い遅れや停止
・解約や返金が進まない
・行政処分(不特法違反等の疑いで、販売及び運営会社に対する業務停止命令)
・投資家による集団訴訟
背景として指摘されたのは
・想定していた収益が確保できなかった
・不動産開発や運用計画の遅れ
・資金繰りの弱さ
・投資家への説明不足や情報開示の不十分さ
などです。
しかし、これらは必ずしも「不動産投資そのものが悪い」という話ではなく、事業としてのリスク管理や説明の在り方が問われた事例だと言えます。
不動産小口化投資のメリットと落とし穴
不動産の小口化投資もメリットはあります。
メリット
・少額から不動産関連投資ができる
・管理や運営の手間がかからない
・投資対象が不動産であるため、イメージしやすい
一方で、見落とされがちな落とし穴も存在します。
落とし穴
・元本や利回りは保証されていない
・運営会社の判断や経営状況に大きく左右される
・原則として自由に売却、解約できない
・投資家自身が状況を把握しづらい
「手軽さ」と引き換えに、「自分でコントロールできない部分が多い」という点は、しっかり理解しておく必要があります。
トラブルに巻き込まれない為のポイント、安心して不動産投資を行うためには
今回の問題を踏まえ、投資を検討する際には次の点を確認することが重要です。
・収益の仕組みが明確か
・利回りが「想定」であることを理解しているか
・運営会社の実績や情報開示の姿勢
・解約や売却がどの程度自由にできるのか
・一つの投資商品に資金を集中させていないか
「よくわからないけれど、勧められたから」という理由での投資は、リスクを高めてしまいます。
不動産投資に限らず、すべての投資にはリスクが伴います。大切なのは、「リスクがあることを理解した上で、自分に合った方法を選ぶ」ことです。
例えば、分譲マンション投資のように、
・所有権が明確である
・自分の判断で売却タイミングを決められる
・家賃収入や管理状況を把握しやすい
といった特徴を持つ投資方法もあります。 どの投資が正解ということではなく、『仕組みを理解し、納得した上で選択すること』が、長く安心して資産形成を続けるための第一歩と言えるでしょう。

