AIによる不動産業界の未来
いま、AIはわたしたちの生活の中で身近なものになってきています。不動産業界でもお問い合わせ対応や不動産査定のサポート、投資予測などにAI技術が活用されています。今回は、AIを活用することによって起こるメリットとデメリットや、不動産業界にどう影響していくのか詳しくご説明していきたいと思います。
AIを導入することによるメリット・デメリット
まず、AI(Artificial Intelligence)とは日本語で「人工知能」を意味します。主にコンピューターの活用によって実現されていますが、不動産に関わる次のようなAIの事例があります。
・物件探しの簡易化(活用企業:東急リバブル等)
顧客にとって、希望に合わせた物件探しは不動産購入で最も重要といえます。そこで、顧客の提示する複数の条件を検討に入れながら、AIが物件候補を提案するサービスが活用されています。物件探しの自動化によって、顧客の利便性向上および従業員の業務効率アップを期待できます。
・チャットボットを利用した問い合わせ対応(活用企業:レオパレス21等)
チャットボットとは、顧客の質問にリアルタイムで回答を返すシステムのことです。これらは不動産業界に限ったものではありませんが、AIによるチャットボットの活用も期待されています。チャットボットならば24時間365日、いつ問い合わせが来ても対応が遅れてしまう心配がありません。また、顧客には「膨大な情報の中から自分に合った不動産情報を見つけやすくなる」というメリットがあります。
上記のように、AIが得意とする領域として、バックオフィス業務をはじめとした定型業務の自動化が挙げられます。AIは膨大なデータの中から顧客のニーズに合わせた物件の提案や、チャットボットによる24時間サポートが可能になり、顧客満足度にも繋がっています。
AIを活用するデメリットとしては、
・不具合が起こった場合の責任の所在が不明確
・情報漏洩のリスクやデータのセキュリティ問題
・リスクマネジメント問題
・AIを活用できる人材が必要になる
何よりもAIを活用するプラットフォームを提供する側はAIに指示を出せるということ。そのほか、論理的な問題として人の気持ちや言葉の微妙なニュアンスを理解する事が、今後解決していくべきAIの課題といえます。
AI技術の進化による不動産業界への影響
AI技術は日々進化し続けており、今後も不動産業界への影響は大きくなると予想されます。VRやAR技術と組み合わせた物件のバーチャル体験や、スマートホームの進化による新たなサービス提供など、様々な新しいアイデアが実現されています。また、業界全体での研究開発や人材育成、政府や業界団体の取り組みにより、AI技術もさらに発展していくでしょう。
AIの普及により、不動産業界では従来の働き方が変わり、業務の効率化やサービスの向上が考えられます。AI技術の進化により、一部の業務が自動化されることがありますが、新たなビジネスチャンスやサービス向上も生まれるため、雇用に関してもケースバイケースになるのではと考えられています。
AIによる不動産業界の未来とは?
売る人、買う人、貸す人、住む人……。不動産に関わるどの立場の人にとっても、AIは有益な技術です。飛躍的に技術が進歩する中で、今後より多くの場面でAIが活用されていくといえるでしょう。定型業務の自動化やチャットボットによる問い合わせ受付など、AIができるものは大変多いです。しかし、顧客に心を込めた接客対応を行う、物件に足を運んで訪問査定を行うなど、AIではできないことも同時に存在します。したがって、AIを活用することによって不動産業者の仕事がなくなるわけではなく、人間の仕事が減った分、人間にしかできない仕事をより多くこなせるようになるでしょう。それゆえに、それぞれの不動産企業にとって競合がひしめく中、AIの活用により熾烈な差別化が始まるのではないかと考えられます。いかに新しいサービスを開発し、新たな顧客価値を提供していくかが重要となります。お客様としても『AIは聖人君子ではない』ということを充分に理解しての利用をオススメしたうえで、今後の不動産業界に関わるAIの動向を見守りたいと思います。